10月号
目次/2024年10月号/みんなの図書館
OCTOBER 2024 No.570
特集:読書バリアフリー法をめぐって
特集にあたって 編集部 3
誰ひとり取り残さない図書館を─その1 読書バリアフリー法をめぐって 野口武悟 4
「読書バリアフリー」の分科会に参加して 小林美穂 15
アピール:「誰ひとり取り残さない図書館をめざします」 16
りんごの棚 赤津みゆき 17
指宿市立図書館における、障害者サービスについて 德留絵里 20
高齢者の読書から見える図書館サービスの意味─移動図書館の仕事から─「私の人生は何なの?」─人は考える材料が欲しい 明石浩 26
私にとっての「図書館サービス」のあり方をみつめる─体験的・図書館での「図書館サービス」から 西河内靖泰 31
一般:
より楽しい、元気な団体へ (仮称)「“ともんけん”と友だちワーキンググループ」発足しました 50
連載:
情報と人間の交差点で─10 実名公表第1号は既定路線だったのか 「少年法と時間」という問題 佐々木央 53
こんな図書館はいやだ─29 図書館を利用していない人に振り回される図書館はいやだ 山重壮一 61
男木島図書館便り─62 額賀(福井)順子 66
ほん・本・Book:
『図書館ウォーカー2』 奥山智靖 69
『図書館のマンガを研究する』 片野裕嗣 70
図問研のページ:
今月贈っていただいた資料 72
会員異動 72
編集後記 72
column: 図書館九条の会:
「書いてはいけない」ってどういうこと? 大塚敏高 68
Crossword Puzzle; 481 49
みんなの図書館編集部:明石浩/今井つかさ/片野裕嗣/川越峰子/高野淳/西河内靖泰/微笑正凡/藤巻幸子/二橋雅子/松本芳樹/村岡和彦
図書館問題研究会
http://tomonken.sakura.ne.jp/tomonken/ メール tmk55@tomonken.sakura.ne.jp
特集にあたって
編集部 文責:微笑正凡
市川沙央さんの小説『ハンチバック』の芥川賞受賞は日本の読書文化が障害者の存在を黙殺してきたことを改めて浮き彫りにしました。出版界だけでなく広く世間に衝撃をもたらしたことは記憶に新しいことだと思います。
一方では障害者差別解消法ののち読書バリアフリー法が制定されようやく障害者に対する読書環境の整備が着手されつつあります。
図書館ではどうでしょうか? 現状を踏まえ今回の特集を組むことにしました。
図書館問題研究会では障害者サービスについて「図書館利用に障害のある人へのサービス」という言葉を使用しています。
なぜこのように回りくどい言い方をするのでしょうか?
それは、読書することにおいて障害は図書館の利用者自体にあるのではなく図書館の中に障害が内在しているということを端的に表現したかったからです。
障害という言葉をバリアという言葉におきかえていただくと分かりやすいかもしれません。このサービスに関わる図書館職員によって長く言い続けられてきた歴史があります。
障害は図書館利用者を取り巻く環境に内在する。この考え方は障害者差別解消法や読書バリアフリー法においては社会モデルという言葉をもちいて表しています。
さて、図書館利用に障害のある人へのサービスという思想の中に、今日いわれている社会モデルという考えがすでに先取りされていたことにお気づきになられたのではないでしょうか。このことについては野口武悟氏が特集の中で言及しています。