ユネスコ『教育を再考する』と図書館 永井宝

ユネスコ『教育を再考する』と図書館

群馬支部 永井宝

ユネスコが2015年に発表した『教育を再考する』(以下、再考)とわが国の公共図書館(以下、図書館)との関わりについて報告したい。『再考』を取りあげる理由は、従来の教育に関するユネスコ文書と異なりその理念だけでなく、具体的に市場主義による商業主義的な教育を経済主義的アプローチとし、持続可能性、尊厳、権利、連帯、多様性を尊重するユネスコの教育を人間主義的アプローチとして経済主義的教育に対抗する姿勢を明確にした点である。また、わが国では発表後10年を経てもその知名度は低く、図書館界においては言及する先行研究が存在していないからでもある。

『再考』で取りあげられている持続可能性などをトピックとして抽出し、わが国の図書館ではそれらがどのように取り組まれているかを雑誌記事など記録されたものを対象に事例を探し、照応する『再考』のトピックに対置させた。調査の結果、抽出したトピックに対し、何らかの取り組みが図書館でなされていることが明らかとなった。ただし、文献調査のみとしたため個々の事例が必ずしも『再考』、ユネスコの理念を念頭に実施されたものとは言えない。それでも、わが国の図書館の取り組みがユネスコの理念を実現する可能性を示しているとともに、『再考』を図書館を発展させるための新たな理念的支柱と位置付けることができるのではないかと考える。

Posted by tmk