5月号

目次/2024年5月号/みんなの図書館
MAY
2024
No.565
特集:議会図書室入門Part3

特集にあたって 編集部 3
「町議会図書室」訪問記:広島県の2町の議会図書室を巡る 石井保志 4
議会図書室で「利用者の秘密を守る」ということ─「図書館の自由」議会図書室Q&A 西河内靖泰 15
使われるための議会図書室であるために─議会図書室の機能格差をなくすための雑感あれこれ 議会図書室棚プロジェクト レファレンス班 21

一般:
「鞆の浦しお待ちガイド」観光ガイド図書館員が行く─郷土資料は公立図書館の中枢資料 明石浩 29
「笛吹き少年」 高野淳 36
最近の政治の動きと知る自由、図書館の自由について─Factがわかりづらくさせられている─3 松本芳樹 38

連載:
図書館の生態系─27 ‘読書危機’は現実か?‘読書信仰’は自立・自律の個人を育てるのか?─もう、子どもたちや若い世代の人たちをエコノミック・アニマルにするのはやめよう 山本順一 43

ほん・本・Book:
『問題解決のためのレファレンスサービス改訂版』 伊藤民雄 62
『女性と図書館』 鬼頭孝佳 63
『世界一かんたんな図書館の使い方』 やまもと・じゅんいち 64

図問研のページ:
アピール:電子書籍サービス(電子図書館)の利用について、マイナンバーカードの取得を条件とすることに反対します 68
声明:ガザ地区における即時停戦を求める声明 69
第1回常任委員会の記録(つづき) 70
第2-4回常任委員会の記録 70
今月贈っていただいた資料 66
会員異動/編集後記 72

column: 図書館九条の会:
アフガニスタンの小さな学校 伊沢ユキエ 67

Crossword Puzzle; 476 28

特集にあたって
編集部
文責:石井保志(議会図書室棚プロジェクト代表)

議会図書室は、地方自治法(100条19項)で地方議会に設置が義務付けられている専門図書館ですが、その現状はあまり知られていません。なにしろ、当の議会図書室からの図書館関係の雑誌などへの情報発信は、多くないからです。たまに私たちの目に触れる文献については、都道府県の議会図書室や積極的にPRしている自治体の事例がほとんどと言っていいでしょう。特に図書室という形で設置せず議会事務局で資料を管理しているところや小規模な町村や離島にある議会図書室など、全国各地の議会図書室の現状に触れる機会は、とても少ないのです。
議会図書室から図書館の世界への情報発信が少ない理由は、次のことが考えられます。専任の司書を置いているところは非常に少ないこと、置いていても非常勤職員だけのところ、そもそもまったく人が配置されていない議会図書室が多いことなど、「人材」の問題があるからです。資料の受入れ・整理など図書室にかかわる仕事は、議会事務局の方が業務の傍らで行っている場合も多いのです。その場合には、図書館関係誌などへの情報発信ということに思いが及びにくいことは想像できます。専門の職員がいても議会図書室関係の情報発信には、議会事務局や議員さんたちの意向も無視することはできず、その点が少し障壁を高くしていることもあるのではないでしょうか。
専門図書館の一種といっても、現実には議会事務局の組織に組み込まれているため、人びとに図書館というイメージで捉えられていない部分もあり、文献が少ない理由と考えられるのです。
でも、問題の一番の難所と思うことは、議会図書室が利用者である議員の「利用の秘密」を扱っていることもあり、特にレファレンス事例の情報発信は難易度を上げています。
さて、本特集では、前回特集号(2023年5月号)に続いて町議会図書室の訪問見学の報告をさせていただきます。また、館種を問わず図書館業務に共通する部分を含めて、議会図書室の仕事について取り上げます。議会図書室と「利用の秘密」の問題、町議会図書室の現状を見つめながら、公共図書館等との共通点を意識していくことで、連携・協力をより指向しながら、充実した議会図書室像を探っていきたいと思っています。

図書館問題研究会
http://tomonken.sakura.ne.jp/tomonken/
メール tmk55@tomonken.sakura.ne.jpみんなの図書館編集部:明石 浩/今井つかさ/片野裕嗣/川越峰子/高野 淳/西河内靖泰/微笑正凡/藤巻幸子/二橋雅子/松本芳樹/村岡和彦

 

Posted by tmk