8月号
みんなの図書館 2025年8月号 図書館問題研究会
AUGUST 2025 No.580
特集:被爆 戦後80年と図書館
特集にあたって 編集部 03
奈良県立図書情報館 戦争体験文庫の取組み について 佐藤明俊 04
沖縄の図書館 戦前から、戦中、戦後の 米国統治下を経て現在 岩下喜博 12
広島市立図書館の被爆80周年の取組について 土井しのぶ・森岡恵美・福増倫子 22
広島には文学館がありません⁈ 「広島文学資料保全の会の取組」 土屋時子 33
平和データベースの「硬貨の溶融塊」 高野 淳 40
「図書館の自由」の歴史の片隅で 山口真也 43
誌上 広島・原爆ドーム ガイド 明石浩 50
連 載
こんな図書館はいやだ 34 ディレンマがいやでバランスよく つまらない図書館 その1 山重壮一 60
男木島図書館便り 67 額賀(福井)順子 65
世界の図書館は、いま。1 続アメリカの図書館は、いま。 井上靖代 67 新連載
ほん・本・Book
知の公共性と図書館-公共的知識と個人的無知の対比 永井 宝 72
公の図書館の日仏比較 公立が公共でなくなるとき 小形 亮 74
移動図書館の「いま」 小廣早苗 76
column: 図書館九条の会
被爆都市「ヒロシマ」を抱える 広島県での「手話言語条例」 西河内靖泰 78
Crossword Puzzle; 491 59
図問研のページ
会員異動/今月贈っていただいた資料/編集後記 80
みんなの図書館編集部:明石 浩/今井つかさ/片野裕嗣/川越峰子/高野 淳/西河内靖泰/微笑正凡/藤巻幸子/松本芳樹/村岡和彦/村上さつき
特集にあたって 編集部(文責:高野 淳・明石 浩)
2025年8月、被爆・戦後から80年という節目を迎えます。現在、広島では、例年以上にさまざまな準備がさまざまな人々や組織によって行われています。今回の特集は広島に住む編集委員2人で企画編集しました。「被爆・戦後80年」の節目に自分たちができることがあるならしておきたい――そんな思いから始まったものです。ご執筆いただいた皆さまには、お忙しい中ご協力いただき、心より感謝申し上げます。
戦後80年という意味では、日本全国が先の戦争の傷跡を共有しています。できるだけ全国的に記事を集めたいと考えていましたが、戦争と平和に関する顕著な図書館活動が行われている図書館を見つけることが難しく、地域的に偏ったものになってしまいました。
被爆・戦後80年を迎え、実際に戦争を体験した人の記憶も、もはや幼少期の記憶に限られるようになりました。今後、戦争の真実を知る手段は資料を通じてのみとなっていきます。そのような中、博物館だけでなく、資料を収集して保存し、人々に提供する図書館の任務と役割はますます重要になっていくでしょう。
「戦争があった」そして「今も世界のどこかで戦争が行われて人々が殺しあっている」これが現実です。人々がどれくらい戦争と平和を身近な問題と感じているかにかかわらず、図書館は、常にこの問題に気を配り、この情報を必要とする人々に、いつでも提供できるように資料を組織して備えておくことが必要ではないでしょうか。そのような図書館の任務と役割をこの特集で感じていただければ幸いです。
