6月号
目次/2025年6月号/みんなの図書館
JUNE 2025 No.579
特集:いま『市民の図書館』を考える
特集
特集にあたって 編集部 10
未完の『市民の図書館』から考える未来の図書館 嶋田学 11
いつまでも続く『市民の図書館』論議 田井郁久雄 20
『市民の図書館』はこれからの図書館に資するのか 山重壮一 30
『市民の図書館』とともに歩んで 松原市民図書館の活動 西村一夫 37
『市民の図書館』から資料費について考える 巽照子 43
『市民の図書館』増補版を読み直す 今こそ目をむけるべき図書館づくりの指南書 前﨑徳生 47
図書館問題研究会 第71回全国大会案内 3
図書館問題研究会 第71回全国大会 申込書
連載:
こんな図書館はいやだ─33 少子化・人口減少社会の図書館がこんなになったらいやだ その3 山重壮一 50
男木島図書館便りー66 額賀(福井)順子 55
情報と人間の交差点で─14 閉ざされた情報空間が引き起こした重大な過誤 フジテレビ第三者委員報告書を読み解く 佐々木央 57
ほん・本・Book:
『「国の蔵書」を自在に利用できる時代へー公共図書館の未来と国立国会図書館の役割 』南波佐間望 67
『ライブラリー・リソース・ガイド』第50号―図書館を創るということはどういうことか【後編】 前﨑徳生 68
『竹内悊の言葉―もちより わけあうー』 平形ひろみ 69
『「読書の自由」を奪うのは誰かー「自由宣言」と蔵書選択 』竹内ひとみ 70
column: 図書館九条の会:
ウクライナ戦争の即時無条件停戦を 石川ゆたか 75
Crossword Puzzle; 489 49
図問研のページ:
図書館問題研究会 第71回全国大会 分科会のお誘い 76
会員異動/今月贈っていただいた資料/編集後記 80
過去『市民の図書館』を特集した『みんなの図書館』の紹介 29
原稿募集 『みんなの図書館』にあなたの原稿をお寄せください 74
特集にあたって 文責 微笑正凡
1970年『市民の図書館』が出版されました。同書は「貸出」「児童奉仕」「全域サービス」を最も重要な基本戦略とし、図書館の進むべき道筋を明確に提示しました。このことはその後の公立図書館の発展に大きな影響を与えることになります。移動図書館の巡回により利用者を開拓し、図書館網を充実させ、資料購入費も大幅に増加していったことにより、国内における図書館利用は急激に増加していきました(と一言で言いましたが、その地域差は大きい)。1991年のバブル崩壊後もしばらく図書館は発展し続けますが、失われた30年といわれる長期不況つづくに従い図書館も停滞期を迎えます。税収減による資料費の減少も大きく影響しました。2003年地方自治法改悪により可能になった指定管理化が進みました。民営化や非正規化の進む図書館を取り巻く世界は行き詰まりを見せています。新たな打開策をもとめつつも先行きを見失っているのが図書館の現状かもしれません。本誌で『市民の図書館を』取り上げたのは、「『市民の図書館』50年」(2020年6月)から5年、「『市民の図書館』の三十年」(2000年12月)からは25年ぶりとなります。節目節目で取り上げられています。 今日『市民の図書館』の「功罪」や評価が取りざたされるのも、同書が図書館に与えた影響力と共にその存在の大きさの裏返だとも言えます。最近では『ライブラリー・リソース・ガイド』(第48号・2024年夏号)で「『市民の図書館』から『市民と図書館』へ」(嶋田学責任編集)特集され、さらに『公共図書館を考える-新公共経営論を超えるために-』(根本彰 著 2024年12月)では『市民の図書館』について論述され評価が記されています。未読の方はご一読お勧めいたします。今特集では『市民の図書館』と共に図書館の発展を現場から見てきた世代である、田井郁久雄氏、西村一夫氏、巽照子氏。『市民の図書館』の空気をあたりまえのように吸ってきたともいえる、1980年以降図書館に入職した世代の嶋田学氏、山重壮一氏、前﨑徳生氏からそれぞれ論考をいただきました。これらの流れを受けて7月に京都で開催される図書館問題研究会全国大会では『市民の図書館』をテーマに基調講演(塩見昇氏)とシンポジウムが行われます。是非ご参加ください。議論を深めていきたいと思います。
みんなの図書館編集部:明石浩/今井つかさ/片野裕嗣/川越峰子/高野淳/西河内靖泰/微笑正凡/藤巻幸子/二橋雅子/松本芳樹/村岡和彦
図書館問題研究会
『市民の図書館』増補版を読み直す 今こそ目をむけるべき図書館づくりの指南書 前﨑徳生