2026年3月号

みんなの図書館 2026年3月号 図書館問題研究会
MARCH 2026 No.587

特集:図問研第71回全国大会シンポジウム  『 市民の図書館』を読み直し、今後の図書館のあり方を考える
特集にあたって  編集部    03
記念講演  図問研と『市民の図書館』、そして資料提供  塩見昇    04
パネルディスカッション  『市民の図書館』と私たちの図書館
パネリスト:橋本祐子  永井麻里  嶋田学  塩見昇  司会進行:巽照子    23

近江八幡市の全域、全住民サービスについて  奥村恭代    51

連載
図書館の生態系  37  図書館資料を貸し出さない公共図書館?!  ── アメリカには存在せず、日本にしかありえない不可思議な(疑似)公共図書館のタイプ ──  山本順一    59

ほん・本・Book
『塩見先生。みんなの学びに寄り添う図書館ってどうやってつくるの? :ストーリーでわかる生涯学習支援サービスの考え方』  永井宝    82
『これからの図書館情報学── 人工知能と共生する図書館』  伊草祥子    84

column : 図書館九条の会
記憶に残る前川恒雄さんのことば  松尾昇治    85

ひろば
私が図書館で発見したもの  緒方啓助    86

Crossword Puzzle; 498    50

図問研のページ
会員異動/今月贈っていただいた資料/11 月号、2 月号訂正/編集後記    88

特集にあたって 文責:巽 照子 編集:稲垣房子/巽 照子/船橋佳子/前崎徳生

[特集]図問研第71回全国大会 シンポジウム
『市民の図書館』を読み直し、今後の図書館のあり方を考える
シンポジウムは大会2日目の2025年7月8日に開催されました。
記念講演では、大阪の図書館問題研究会の活動を立ち上げ、日本図書館協会の理事長として、日本の公共図書館の礎を築いてこられた塩見昇さんに『市民の図書館』の底流に流れる考え方をお話しいただきました。パネルディスカッションで、地元京都市の図書館友の会・けやき代表の永井真里さん、東近江市立湖東図書館主査の橋本祐子さん、京都橘大学教授の嶋田学さんにパネリストになっていただき、そこに塩見昇さんにも加わっていただき進めました。
シンポジウムの企画は、「『市民の図書館』をみんなで読み直して、今後の図書館の在り方を考える場をつくってみたらどうか」と 関西での全国大会の準備を実行委員会で進めていく中でまとめられました。
1970年の『市民の図書館』の出版以来、全国の図書館の職員、市民、そして図問研の会員は、この、『市民の図書館』を意識しながら、新しい図書館づくりを進め、おおむね2000年ぐらいまでは、市民のための図書館づくりにまい進してきました。市民の図書館が掲げた「貸し出し」、「児童サービス」、「全域サービス」について取り組み、地域による違いや、まだまだ不十分さを残しながらも、皆同じ理想を掲げながら、図書館づくりを進めてきたと考えています。
国の施策や社会の大きな変化のもと、公共図書館の奉仕業務の民営化、そして運営全般への指定管理者制度の導入が進んでいます。専門職体制の脆弱化、公共施設再編成の流れに、図書館が組み込まれようとしていく中で、公立図書館のあり方に大きな一致点を見いだせないまま、さまざまに対応を行っているのが現状ではないでしょうか。
「にぎわい」を図書館の基本コンセプトに据え、市民の図書館としての基本的機能を整えない、いわゆる「ツタヤ図書館」のような図書館が、いくつもの自治体に受け入れられ、近年では資料の貸し出しそのものを行わない図書館まで出てきています。 ここ20年での正規専門職員の急激な減少と、それと背中合わせに、非正規職員が増大し、公共図書館の専門職体制は崩壊の危機に直面しています。 こうした混沌とした状況を見る中で、いま一度『市民の図書館』に流れる基本的な考え方について確認し、そして現在の状況を打開するための視点、戦略を考えようというのが、今回のシンポジウムの目的です。
それぞれの立場から忌憚のない意見交換を通して、今後の図書館のあり方を模索しました。会場から3人の意見を含めた内容になっています。

みんなの図書館編集部:
明石 浩/今井つかさ/片野裕嗣/川越峰子/高野 淳/西河内靖泰/微笑正凡/藤巻幸子/松本芳樹/村岡和彦/村上さつき

Posted by tmk