「あいちトリエンナーレ2019」への補助金交付を求める要請書
2019年9月28日
文部科学大臣 萩生田 光一 様
文化庁長官 宮田 亮平 様
図書館問題研究会
委員長 中沢孝之
「あいちトリエンナーレ2019」への補助金交付を求める要請書
文化庁は、9月26日に「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止になった問題をめぐり、採択されていた補助金約7800万円を不交付にすると発表しました。
図書館問題研究会は、9月2日に「『表現の不自由展・その後』への脅迫と介入を強く非難し、表現の自由を守るためのアピール」を決定し、「表現の不自由展・その後」への脅迫と介入を批判しました。
国・文化庁は、愛知県が「来場者を含め展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実」を申告していなかったことを問題視し、文化庁として「適正な審査」を行なえなかったことを不交付の理由としています。しかし、事後的に要件に定められていない申告を要求し、一部の企画展が脅迫によって中止を余儀なくされたことをもって補助金を不交付とすることは、脅迫行為を国が追認することになり、今後も美術展等への脅迫行為が繰り返されることが危惧されます。国・文化庁が問題視する展示を、手続的な瑕疵を理由として経費の面から締めつけるものと推認せざるを得ません。
国・文化庁がすべきことは脅迫に屈さずに企画展を再開するための援助をすることであって、「あいちトリエンナーレ2019」全体への交付金を取りやめることではありません。9月25日には、あいちトリエンナーレのあり方検証委員会が中間報告にて企画展「表現の不自由展・その後」の再開の方向性を示しています。その翌日に発表された不交付決定は、事実上の検閲としての効果を持ち、今後の表現・芸術活動の萎縮をもたらす表現の自由への明白な抑圧です。私たちは強い怒りをもってこの決定を非難し、補助金を交付するよう求めるものです。